「ごめん、お願いしていい?」
「あ……はい。大丈夫です、今日は委員会もないですし」
苦笑して頷くと、同じクラスの女の子はホッとしたように笑顔を見せる。
「ありがとう、桜さん!」と元気良く教室を飛び出していく後ろ姿を見送りながら、私は大きくため息をついた。
また引き受けてしまった……。
先生に頼まれた雑用と、クラスの係の仕事。
自分でも何故かわからないけど、どうしても断れない。
相沢くんとはだいぶ話せるようになってきたし、ある程度意見も言えるようになってきてるのに、他の人が相手だとまるでダメ。
相変わらずの自分に嫌気がさして、私は自分の席でうなだれた。
「……あ、そういえば」
相沢くんって、サッカー部なんだっけ……。
文実委員になってから思ったより忙しくて、相沢くんはなかなかきちんと部活に出ることができないでいた。
委員会や文実委員関係での居残りがないのは、もしかすると今日が初めてかもしれない。
何となく立ち上がって窓際に行ってみる。
4階のここからだと、グラウンドの様子がよく見えた。
いた……相沢くん。