「よし、あとは企画名決めたら終わりだな」


「あ、はい。そうですね」


企画名か……とふたりで首を傾げる。


「もうそのまま“性転換喫茶”でいいんじゃねえか?」


「それはちょっと……名前がちょっとストレートすぎてお客さんは入りにくいと思います」


「そうか?」


大丈夫じゃね?と言う相沢くんに素直に従うことができない。


それに……


「それに、性転換喫茶なんてふざけた名前、本気でそういうので悩んでる人に失礼な気がして……。自分で提案しといて何ですけど……」


私がそう言うと、相沢くんは驚いたように目を丸くして、それからぷっと吹き出すように笑い始めた。


「……!? え?え!?」


突然笑われる意味がわからなくてこっちがびっくりしてしまう。


相沢くんは「わりぃ」と笑いすぎて出た涙を拭った。


「いやぁ、前から桜さん真面目だなって思ってたけど、ここまでとは思わなかったわ」


「へ……?」


笑われるほど真面目って、私そんなに!?


そんなに頭かちかちに見られてたのかと軽くショックを受けている私には構わず、相沢くんは「じゃあ……」と企画名を考え始める。