しばらく盛り上がっていたみんなの視線を相沢くんは再び集めて、明るい声で唐突に言った。


「今回の喫茶店は、桜さんの提案なんだ」


「えっ……えっ!?」


えぇ──!!?
何言ってくれちゃってんですか相沢くーん!!


あれだけ盛り上がってたのに、「え、マジで桜さんなの?」的な微妙な空気になっちゃうじゃないですか!


「何でっ……わざわざそんなこと言わなくても……!」


「いいから。顔上げてみんなの反応見ろよ」


そんなこと言われても……私なんかの意見が通ったなんて、考えるだけで恐れ多い……。


そう思いながらも、相沢くんに促され、私はゆっくりと顔を上げた。


「桜さん、すごいじゃん!」


「あんなアイディア、なかなか思いつかねーよ!」


「良いセンスしてんね。あたし、こーゆうの超好きだよ♪」


「文実委員ばんざーい!」



みんなは、笑ってた……。



「これでちょっとは、お前に対するみんなの見方も変わったんじゃね?」


隣にいる相沢くんも、優しい笑顔を浮かべていた。


「あ、ありがと……ございます……」


「感謝されるようなことなんてしてねーよ」



あまりにも嬉しくて泣きそうになったことは、相沢くんには内緒にしておこう。