だけど、私なんかのアイディアが通るわけがない。


実際、女子はともかく男子は可哀想な役回りだ。


異議を出されて、ボツになるのがオチ。


今更ながら、あんな妙な案を出したことを後悔した。


「桜さん……それ、超いい!!」


「……へ?」


しばらく黙っていた相沢くんは、すごく嬉しそうな声を上げた。


「みんな!メイドと執事喫茶だ!
男子がメイド、女子が執事の“性転換喫茶”!
意見のある奴は挙手!」


相沢くんの呼び掛けに、クラスが再び騒めきだす。


「え?何?男装できんの?」


「超楽しそうじゃん!」


「俺ら女装すんのかよ!?マジかよー!」


「とか言いつつ、お前も楽しそうじゃねえか」


……え?あれ?え?


予想以上に明るい声が上がって、批判的な意見は出てこない。


びっくりしつつも安心して、私はホッと胸をなでおろした。


「じゃあ、1年2組の出し物は、男女逆転の“性転換喫茶”でいいか?」


「さんせ──いっ!!」


こうして私の出した案は、あろうことかクラス全員の賛成を取り、生徒会へ企画申し込みをされることとなった。