即答して再び横になろうとする俺に、桜さんは慌ててなんとか説得しようと試みる。
でも、めんどくさいものはめんどくさい。
入学式には行かないと決めたから、何を言われてもここを動くつもりはない。
「あの、相沢くんっ、戻りましょう……?」
「眠いから無理。式が終わったら教室にはちゃんと行くから」
「そういう問題ではなくてですね……」
おろおろとする桜さん。
その様子が面白くて、思わず笑ってしまいそうになる。同級生相手に敬語で話すところとかなんとも変わっていて興味が湧いてきた。
「相沢くん、お、お願いですから……」
「いーやーだーよー」
こいつの困り果てた顔がもっと見たくて、わざとらしくつーんとそっぽを向くと、桜さんは観念したのか黙り込んだ。
うんともすんとも言わなくなったので、俺はちょっと気になって桜さんのほうに視線を戻した。
すると、俺はギョっと目を見開いて、今度は俺のほうが慌てた。
「えっ!? ちょっ、どうしたの!?」
今にも泣き出しそうな真っ赤な顔で、桜さんは俺をまっすぐ睨んでいた。