「……あ、あの、あい、あいざわ、くんっ……ですよね……」
小さい声で俺を呼ぶ声がして、俺は目を閉じたまま答えた。
「あー?誰だよ、うるせぇな」
「ひいぃっ!ごごごごめんなさいっ!」
高い悲鳴を上げながら、声の主か距離を取ったのを感じる。
やっべ、ちょっとビビらせたか……?
昼寝の邪魔をされるのは嫌だけど、少し申し訳なく感じて俺はやっと体を起こした。
「……誰」
目の前で震えていたのはおそらく同じ学年の女子生徒。胸に『入学おめでとう』の花をつけている。
短く言った俺に、女子はびくびくしながら頭を下げた。
「わわっ、わたくし、桜香波と申しますっ……!えっと、あの、相沢くん、ですよね……?」
「そうだけど」
眠い、そう思ってあくびをすると、それだけでびくっと肩を震わせる桜という女子。
「で、何?」
「あの、私相沢くんと同じクラスでして、その、先生に入学式に出るように呼んでこいと言われまして……」
「嫌だ、だるい」
「ええっ!?」