「だって、相沢くんと一緒にやりたいから」
自然とこんなことが言えるようになるぐらい、私は変わることができた。
それは、文実委員になったから。
一緒に委員になったのが相沢くんだったから。
「やろうよ!今年の文化祭も、素敵な文化祭にしようよ!」
私の真剣な目を見て、相沢くんは観念したのかため息をひとつついてから言った。
「しょうがねえなぁー。やるか!」
顔を見合わせ、お互いニコッと笑い合う。
「今年も頑張ろうぜ」
「うんっ!よろしくね、相沢くんっ!」
桜香波。今年もまた、文実委員になります。
去年と同じく相沢くんと一緒に。
ただひとつ違うのは、相沢くんとの関係と、何より私自身。
「今年はどんなのがいいかな?占いの館とか楽しそうだなって思うんだけどどうかな?」
「おー、いいんじゃね?」
気の早い私に呆れることなく、相沢くんも微笑みながら答えてくれる。
「とりあえず、今年の文化祭中に香波のファーストキス奪うつもりだからそこんとこよろしく」
「ええっ!?」
怪しく口角を上げる相沢くん。
思わず後ずさりする私。
そんな私たちのもとにアキちゃんがやってきた。
「なになにー?何の話ー?」
「アキちゃんっ!」
「おー、清水。実はな、今年こそ香波の……」
「わーーーっ!!」
慌てて割って入る私に構うことなく、アキちゃんは相沢くんの言葉の続きをせまる。
「俺、部活行ってくるー」
「あっ!相沢くん!待って!香波が何ー?」
教室を飛び出す相沢くんをアキちゃんが追いかけ、私もふたりのあとを追った。
こんなに楽しい放課後を迎えられるようになったのも……
文実委員になったから……。
ーfinー