「あっ!桜さん、相沢くん!ちょっと手伝ってくれないかな?明日のHRで配る資料を作らなきゃいけないんだけど、人が足りないの。私も今日は早く帰らなきゃいけなくて……」
パタパタと私たちの元に駆け寄ってくると、学級委員さんは頭を下げて両手を合わせた。
「……えっと」
手伝ってあげたいのは山々だけど、私はこれからアキちゃんとの約束がある。
相沢くんは困ったように私を見る。
今までの私だったら、たとえ自分も用事があっても言い出せなくて、断りきれずに引き受けていた。
でも、1年生の時に文実委員になってからは、そんな私は変わったの。
「ごめんなさい。私も今日はこれから用事があるんだ」
きちんと、目を見て、慌てることなく落ち着いて言った。
ちゃんと……言えた……。
「香波……」
隣にいた相沢くんも、私の返事に驚いているらしく、目を丸くしている。
私自身、きちんと言えた自分を誇らしく感じた。
「そっか……。わかった、ごめんね。ありがとう」
シュンとする学級委員さんに、私は続けて言った。