玄関まで降りると、キャンプファイヤーはもう始まっていたらしく、赤々と燃えている炎の周りで、男子生徒と女子生徒が輪になって踊っているのが見えた。
「やっべー!もう始まってんじゃん!」
もう靴を履いている相沢くんに続こうと、私も慌てて上履きからローファーに履き替える。
あまりに急ぎすぎたのか、履き替えている途中でバランスを崩し、転びそうになってしまった。
「ひゃわっ……!」
前に倒れそうになった私だったけど、それに気づいた相沢くんが私を抱きとめる形で支えてくれた。
「大丈夫か?」
「う、うん、ありがとうっ」
今ので何回目だろう、相沢くんに抱きしめられるのは。
今更そんなことを考えて恥ずかしくなってきた。
顔が熱くなるのがわかって俯く私に、相沢くんが「どしたの?」と聞いてくる。
「なっ、なんでも、なんでもないですっ……」
顔を覗き込まれそうになり、慌てて顔を背ける。
すると、視界の端っこで少しむっとする相沢くんが見えて。
「香波」
名前を呼ばれて顔をあげた次の瞬間……。
額に、柔らかく温かいものが触れた。