「はーい、ちょっとみんな聞いてー」


相沢くんは両手をたたいて、皆の注意を引き付ける。


「今から文化祭について皆に話し合ってもらいたいんだ。協力してくれる?」


わざとらしくおねだりしてみせる相沢くんに、クラスの皆は「しょーがねえな」なんて笑いながら言った。


「サンキュー、助かるわ」とお礼を言ってから、相沢くんは呆然としている私に声をかける。


「桜さん、プリントちょうだい」


「え……あ、はい!どうぞ!」


手にしていたプリントを渡すと、それに記されていた今日決める事柄をすらすらとみんなに伝える相沢くん。


その姿は、いつもだるそうな雰囲気をかもしだしている人だとはとても思えなかった。


まるで……みんなが頼れる学級委員……みたいな感じ。


「とゆーわけで、文化祭で皆がやりたいうちのクラスの出し物を思いつくだけ言ってみてー」


「縁日!」


相沢くんの言葉に瞬時に反応したのが、クラス一のお調子者の男子だった。


「桜さん、縁日って書いて」


「あ、はい!」


相沢君の指示通りに、白いチョークで黒板に“縁日”と書く。



……ありがとうございます、相沢くん。



書きながら、心の中でお礼を言った。