野川先輩の閉会の言葉で、2日間の文化祭は幕を閉じた。


「後夜祭は校庭と体育館でやります。校庭ではキャンプファイヤー、体育館ではクイズ大会を行う予定ですのでお暇な人はどうぞご参加くださーい!」


文化祭副委員長の言葉で、生徒たちは体育館に残ったり校庭へと向かう。


文実委員も楽しめるようにと、後夜祭だけは先生たちが取り仕切ってくれるので、私たちがやることは何もない。


アキちゃんはクイズ大会の賞品を狙っているらしいので、「クイズ女王にあたしはなるー!」とか言いながら他のクイズ参加者を威嚇している。


「あ、香波。あれ」


そんなアキちゃんを見て笑っていると、相沢くんが体育館の出入り口のほうを指さした。


「あっ……!」


出入り口のほうにいたのは柏木くんと野川先輩。


何を話しているかはわからないけど、ふたりはキャンプファイヤーに参加するのか、柏木くんが野川先輩の手を引いて走って行った。


柏木くんは楽しそうに満面の笑顔を浮かべていて、野川先輩も困りつつもまんざらでもない様子だった。


「うまくいったみたいだな、あの二人」


「うん!よかったぁ!」


あんなにも野川先輩を思い続けてたんだもん、柏木くんには幸せになってほしいと思っていたからすごく嬉しい。


相沢くんも私と同じ気持ちなのか、優しい眼差しで「そうだな」頷いた。