相沢くんはもとの男子の制服に着替えてから体育館に来たけど、他のみんなはメイド服や執事服のままの子が何人かいた。


私もせっかくだから執事服で閉会式に参加すれば良かったなぁ……。


そんなことを考えながら、閉会式の準備をしていると、後ろから「香波ーー!」と私を呼ぶ声が。


振り返ると同時に突撃……いや、抱きつかれた。
こんな登場の仕方をするのは私が知っている限りでは1人しかいない。


「あ、アキちゃん……」


抱きつかれた時の衝撃でお腹がやられたけど、何も言わないでおこう……。


「相沢くんにちゃんと告白できた!?」


「あっ……その件ですが……」


にこにこ笑顔で聞いてくるアキちゃんに報告しようと思った時、相沢くんがやってきて私の手をぎゅっと握り締め、その繋いだ手をアキちゃんに見せた。


「おかげさまでー。これからよろしく」


ニッと笑う相沢くん。それを見たアキちゃんがパァっと目を輝かせて、さらに強く私を抱きしめた。


「よかったねー!香波ー!」


「ありがとう、アキちゃん。でもちょっと苦し……」


酸素を求めると、アキちゃんがやっと離してくれた。


「よく頑張ったね、えらいね香波」


「アキちゃんに背中押してもらえたからだよ。ありがとう」


アキちゃんは「どういたしまして!」と言いながらもう一度私に抱きついてから、クラスのみんなのもとへと戻って行った。