「あ、あのね、相沢くんっ、そのっ、えっと」
相沢くんの前で、こんなにしどろもどろになっているのは久しぶりだ。
文実委員になったことをきっかけに、私は自分で言うのもなんだけどそれなりに変われたと思う。
相沢くんとは長い時間過ごすこともあって、ほとんど緊張することなんてなくなったし、相沢くんには自然体で話せるようになっていた。
それなのに、“告白”となれば話は別らしい。入学したての頃のように、言葉を詰まらせてしまっている。
「えっと、その、私……っ」
相沢くんとは、私にとっての初めてがいっぱいあった。
相沢くんは、私が1番初めに緊張しないで話せるようになった人で、私が初めて怒った人。
それから初めて一緒に仕事をした人。
殻に閉じこもっていた私を初めて見つけてくれた人で、そのままじゃダメだと初めて叱ってくれた人。
初めて携帯のアドレス帳に登録された男の子が相沢くん。嫉妬や切なさを初めて抱いた相手も相沢くんだった。
相沢くんと一緒に文実委員をやってきたからアキちゃんっていう大切な友達もできたし、相沢くんがいなかったら柏木くんや野川先輩とこんなにも深く関わることなんてなかったと思う。
入学して3ヶ月たった頃でも、私はクラスのみんなにとって頼めば何でもやってくれる便利な人っていう感じだった。
それが今では、打ち上げに誘ってもらえるまでになって、みんなにちゃんと私を必要としてもらえるようになった。