痛みはもう引いているとはいえ、包帯を巻いている手ではいろいろと不便なのは確か。


代わってもらえるのはありがたいけど、でも文実委員である私がなまけるわけには……。


「香波ー。人の親切は素直に受け取らないとダメだぜ」


そんなことを考えていると、やっとたこ焼き屋さんから相沢くんが戻ってきた。


「でも、私文実委員だし、サボるわけには……」


「怪我で休むのはサボりじゃねーよ。それに、文実委員とか関係ない。香波はその前に2組の大事なクラスメイトだろ?」


大事な……クラスメイト……。


「そうだよ、桜さん!」


「大事なクラスメイトに、また怪我されちゃったら私やだよー」


み、皆さん……!


私はなんて幸せ者なんでしょうか。
みんなに心配してもらったうえに、今まで同じ教室にいても空気みたいにしか思われていなかった私が、大事なクラスメイトだなんて言ってもらえるようになって……!


「ありがとうございますっ、あの、それでは、お言葉に甘えさせて頂きますねっ」


「おう、こっちのことは任せな!」


「その前に相沢は早く着替えてきなー」


女の子たちに言われて、相沢くんは自分がまだエプロン姿だったことを思い出したのか、慌ててスタッフルームに駆け込んでいった。