笑い声が聞こえて顔を上げると、相沢くんも私に気づいてこっちを見下ろしてくる。
「香波。お前、ほんとに変わったよ」
「ふふっ。もっと褒めてください」
「ほら、こんな冗談なんて言えるような奴じゃなかったじゃん」
そうだね。前の私だったら、こんなふうに言うことなんてできなかった。
人を助けられるような人間なんかじゃなかった。
変わったね、って言われる度に、自分という存在が周りに認められてもらえるような価値のあるものになれてきたような気がして、本当に嬉しい。
「それにしても、なんでお前店番入ってたんだよ?当番は午後からだろ?」
「あ、部活のほうがあってどうしてもって言われて……」
「……また断りきれなかったのか」
「違いますよ!これは文実委員としての役割を果たしたまでです!」
呆れる相沢くんに慌てて言うと、「はいはい、わかった」と子供をあやす時みたいな感じでポンポンと頭を撫でられた。