「よし。これで大丈夫よ」


「ありがとうございます」


保健室で手当してもらうと、少し痛みが和らいだような気がする。


幸い、手の甲にお湯を浴びただけでだったので、病院に行ったりするほどのおおごとにはならなかった。


「痛みがひくまでは、しばらく左手は使わないように。安静にしてなさいね」


「はい、わかりました」


私が頷くと、少しゆっくりしてていいから、と先生は保健室をあとにした。


これからどうしよう。みんなに心配かけてると思うから早く戻った方がいいよね。


そんなことを考えていると。


――ガラッ!



「香波っ!!!」



勢い良くドアが開いて、ものすごい形相の相沢くんが飛び込んできた。


「あ、相沢くん。どうしてここに?」


「お前が怪我したって清水から聞いたから急いで来たんだよ!」


相沢くんは、サッカー部のたこ焼き屋さんでつけているエプロンのまま。しかも走ってきたのか、額には汗が浮かんでいる。


言葉通り、急いで来てくれたんだもさということがうかがえた。


「ありがとう、相沢くん。でも大丈夫なので……」


「大丈夫なわけないだろ!?」


「ひぇっ!?」


相沢くん、お、怒ってる……?