よし、とお盆を持つ手に力を込めた時、ちょうど新たなお客さんがご来店。
「いらっしゃいませっ。チェンジ喫茶・リトルリバーへようこそっ」
出迎えると、そこにいたのは柏木くんとアキちゃんだった。
「アキちゃん!それに柏木くん!」
「やっほー!香波ちゃん」
来てくれたのが嬉しくて、接客を忘れてつい2人のもとに駆け寄ってしまう。
「柏木くん来てくれてありがとうっ。アキちゃんも」
「あたし一人で回っても楽しくないからここにいようと思って戻ってきたら、こいつがなんか若干入りにくそうにしてたから連れてきちゃった~」
柏木くんを指さしてケラケラと笑うアキちゃん。柏木くんは「だって、1人じゃ入りづらくて」と頬を赤く染めながら答える。
「それにしても、香波ちゃんが執事役なんていろいろびっくりしたよ。こういうの苦手じゃないの?」
うっ……その通りです、柏木くん。
これはもう不可抗力というかなんというか。
「まあ、いろいろな事情がございましてね……」
遠い目で答えると、何かしら察したのか、柏木くんはお疲れと励ましてくれた。
「でも、とてもいい経験をさせてもらってます。頑張ります!」
「そっか。偉いね、応援してるよ」
ふわっと微笑んでくれる柏木くん。
なんか前よりも雰囲気が優しくなったみたい。
いろんなことがふっきれたからかな、思ったよりも元気そうでよかった……。