目をつぶっててと言われてしまった私は、言う通りにしているために今自分がどうなっているのかまったくもってわからない。何でアキちゃんに激変大作戦を行われているのかという理由もわからない。
何となく、髪の毛をいじられているのはわかるんだけど……。
「香波、大丈夫?熱くない?」
「あ、はい。大丈夫」
アイロンやコテを使う時は、間違って火傷をしないようにアキちゃんはものすごく気を遣ってくれている。
「アキちゃん、髪いじるの好きなんですか?」
「うん、まあね。髪いじるのとかメイクするのとか、自分より人にしてあげるほうが好きかも」
「すごいなぁ、私はそういった類の知識はゼロなもので……」
「ダメだよ、女の子なんだから。でも、香波の髪サラサラで綺麗だよね!肌も白くて羨ましい!」
「そ、そうかな……」
何だかこうしていると、アキちゃんが私のお姉さんになったような感じがする。
私は一人っ子だからわからないけど、姉妹とかはこんなことをしたりするのかな。
「よし。ヘアアレンジは完璧!さて、次はメイク……」
「め、メイク!? お化粧もするんですか!?」
そんな!生まれてこの方、お化粧なんてやったことがない!
私は思わず目を見開いて答えた。
「嫌?まあ、香波はそのままでも全然可愛いからいっか」
「可愛くはないですけど!メイクは遠慮させてください!」
わかったわかった、とアキちゃんは苦笑して、取り出しかけてたメイク道具をポーチに戻してくれた。