学校に着いたけど、結構早い時間に来たのでまだ誰も登校している様子はない。
完成した虹のアーチをくぐり抜け、玄関へと向かう。
ローファーと上履きを履き替えていると、後ろから元気な声と共に勢い良く抱きつかれた。
「おっはよー!香波ー!」
「あ、アキちゃん!? おはよう!?」
びっくりして声が裏返った私を笑いながら、アキちゃんも靴を履き替える。
「アキちゃん、今日は早いんだね」
「うん。だって、香波、8時半から開会式の準備行かなきゃでしょ?」
そう、開会式は9時からで、普通だったらそれに間に合うように登校していればいいんだけど、私たち文実委員は30分前には体育館にいて開会式の準備をしていなくちゃいけない。
昨日のメールでそのことを伝えると、アキちゃんは私に何か用があったみたいで8時に学校に来るように言われて今に至るわけなのです。
「……で、アキちゃん、か、覚悟しといてっていうのは……一体何のことなんでしょうか……?」
何があるのかと不安な私に、アキちゃんは「まあ教室に着いてから」とちょっと楽しそうに笑うだけ。
でも、いつも遅刻ギリギリかちょうどぐらいに学校に来てるアキちゃんが、わざわざこんな時間に来るぐらいだから、只事じゃないはず……。