私は、前でしきっている野川さんから隣に座っている男子に目を移す。
不運にも私と同じく、当たりくじをひいてしまった人──相沢くん。
今日は珍しく起きているかと思いきや、窓の外を眺めてはぼーっとしている。
相沢くんとは文実委員の連絡事項なんかで話す機会は増えたけど、それ以外では話すことはあまりない。
ただのクラスメイトだし、私がもともと口下手だからそんなものなんだけど。
「じゃあ1年2組、何かありますか?」
「へっ!?」
突然話を振られて驚き、筆箱を落としそうになってしまった。
1年2組の文実委員は私達だった。
何かと言われても、さっきから別の事を考えていた私に、アイデアも意見もない。
ああっ、私としたことが、真面目に委員会に参加しないなんて。
「桜さん、何か考えた?」
相沢くんが聞いてきた。
私が首を横に振ると、相沢くんは「だよなー」と、面倒くさそうに頭を掻く。
相沢くんも、やっぱりぼーっとしてただけで、委員会のことなんて考えてなかったみたい。
「すいません、まだ考え中です」
相沢くんがだるそうに手を上げて言うと、野川さんは「わかりました」と頷き、別の文実委員に意見を求めた。