すると、頭にポンポンと2回、優しい感触が。
「だーいじょーぶだって」
それから、温かくて心地いい声。
「おまえは、他の人間より、ちょっと出来るまでの期間が長く必要なだけなんだ」
相沢くんのほうを見ると、私の頭を撫でてくれていた右手が、ガッツポーズをしている。
「安心しろって。だって香波は、初対面の俺に怒れたぐらい、度胸のある奴なんだからな」
あ……そうだ。
私、初めて相沢くんと話した時、相沢くんの失礼な言葉にむかついて、つい怒鳴っちゃったんだっけ。
そういえば、そんなこともあったなぁ。
まだ数ヶ月しか経ってないのに、この数ヶ月間がものすごく濃密なものだったから、随分と昔のことのように感じる。
でも、そうだよね。
自分で言うのもおかしいけど、あの日から、私はゆっくり、でも確実に変わってきてると思う。
だから……きっと、大丈夫。
「ありがとう、相沢くん。もう少し、リラックスしてやってみます」
「おう。俺もそろそろ戻ろうかな」
そう言って、立ち上がる相沢くん。
「でも、思ったんだけど、ちょっとそのPR堅くないか?眼鏡かけた学級委員とかが言いそうな文だな」
「え、ええっ!? や、やっぱり堅かったですか……」
……アキちゃんに言われた通り、相沢くんにまで堅いとダメ出しをくらってしまいましたとさ。