「香波ちゃん、相沢とうまくいくように応援してるからな」
柏木くんが、相沢くんに聞こえないように私の耳元で小声でそう言った。
「か、柏木くん……!」
真っ赤になる私を見て、柏木くんはケラケラと笑う。
「香波ちゃんは前よりも良いほうに変わってきてるから大丈夫だよ。頑張れ」
そうかな、そうだったら嬉しいなぁ。
「柏木くん……ありがとう」
「おい、お前らコソコソ何話してんだよ」
仲間はずれにされたみたいで面白くなかったのか、相沢くんがとっても不機嫌そうな様子で言った。
「相沢になんか教えてやらねーよ、べーっだ!」
「何だとぉ……?」
あっかんべーをする柏木くん。相沢くんのこめかみに怒りマークが見えたような気がした。
するとその時。
「ちょっとー!そこの3人ちゃんと飾り付け手伝ってよー!」
「は、はい!すみません!」
話に夢中になって手が止まってたみたいで、他のクラスの人に怒られてしまった。
私たちは慌てて作業に戻る。
ふと、相沢くんのほうを見ると、タイミングが良かったのか目が合ってしまった。
「香波、あんないいこと言えるようになったんだな。かっこよかったぜ」
「へ?あ、いや、あれはただ思ったことを言っただけでして……」
「でも前のお前だったら、あんなこと思うこともなかっただろ?」
あ、確かにそうかもです。
「変われたのは、相沢くんのおかげだよ」
「俺?別になんもしてないけど……」
相沢くんを好きになったおかげで、恋をする楽しさもつらさも知ることができた。
文化祭本番まであと少し。
無事に成功したら、絶対言うんだ。
相沢くんに、好きですとありがとうを。