「柏木くんは、ミスターコンには参加しないんですか?」
「うん。だから、もしミスターコンで優勝した奴が野川さんと付き合うことを狙ってたりしたらやばいんだよね」
確かに。野川先輩がミスコンでグランプリを取ることは私も確実だと思う。そうすると、ミスターコンでグランプリを取った男子がもし野川先輩に告白なんてしたら……!
迷信かもしれないけど、ジンクスが本当だったら野川先輩もOKしてしまうかもしれない。
「それは絶対に阻止しないとダメですよ柏木くん!」
「何で香波がそんな必死になってんだよ」
つい前のめりになってしまった私に、相沢くんが呆れながらつっこむ。
だって……野川先輩はまだ相沢くんのことが好きかもしれないけど、柏木くんはこんなにも野川先輩のことを想っているから、うまくいってほしいんだもん。
「あの、柏木くん」
余計なお世話かもしれないけど、私は柏木くんに自分の考えを精一杯伝えた。
「あの、あのね。柏木くんの野川先輩の幸せを願う気持ちは本物だし素敵だと思うんです。でも、“野川先輩の幸せ”だけしか考えていなかったから、それしか見えてなかったからやり方を間違えちゃったんじゃないかな」
「香波ちゃん……」
「だから今度は、自分のことは後回しじゃなくて“柏木くんが幸せになること”も考えてください。そうしたら、また違った行動が起こせると思うから」