いつもどこか飄々として、素直なように見えるけど、本当の気持ちを柏木くんは見せていないようでいつも読めない存在だった。


そんな柏木くんが、今日初めて、本当のことをすべて話してくれました。



「俺が本当に好きなのは、文実委員長の野川さんなんだ」



柏木くんが野川先輩に会ったのは、文実委員の一番最初の委員会の時。


前に出ても緊張している様子はこれっぽっちも見せずに、むしろ堂々とした態度で、凛とした声でみんなをまとめる姿に一目惚れをしたのだそう。


その委員会が終わったあと、すぐに野川先輩に告白した柏木くんだったけど、好きな人がいるからとあっさり振られてしまい、その好きな人というのが相沢くんだと知った。


「野川さんの好きな人が相沢だっていうのはすぐに気付いたよ。だけど、相沢が野川さんのことをどう思ってるのか全然わからなくて。ただ、相沢と同じクラスの香波ちゃんも相沢くんのことが好きなんだっていうのはわかった」


だから柏木くんは、私に近づいた。


野川先輩のことを応援するために。


「香波ちゃんに俺を好きにならせるようにして、俺と香波ちゃんが付き合っちゃえば、相沢と野川さんが結ばれる可能性は高くなると思った」


苦しそうに顔を歪ませる柏木くん。
見ているこっちがつらくなるぐらい。