「柏木、お前いい加減にしろよ。毎回毎回、香波にばっか手出してきやがって」
「だって香波ちゃん、いちいち反応が面白いんだもん、かーわいー」
か、かわ……!?
聞き慣れない単語にびっくりしながらも、私はさっきの柏木くんの顔を思い出す。
寂しそうな切ない感じの表情だったはずの柏木くんだけど、今は相変わらずいたずらっぽい笑顔を浮かべている。
中庭で何か揉めてたような雰囲気でいるのを見かけたし、野川先輩と何かあったのかなと思ったけど気のせいかなぁ?
そんなことがありつつも、皆で協力して飾り付けを始めることにした。
ピンク、白、黄色、水色、いろんな色の紙で出来た花がステージに付けられて、さっきまで殺風景だったステージはたちまち華やかになる。
この調子で早く終わらせちゃおうっと。
そうして、皆で黙々と作業していると、「あっ」と思いだしたように相沢くんが言った。
「そういえば、コンテストといえば、知ってるか?」
「何をですか?」
聞き返した私に、相沢くんは得意げに教えてくれた。
「それぞれのコンテストでグランプリをとった男女は、永遠に結ばれるってジンクスだよ」