コンテストは、一般公開日である文化祭2日目に、校庭の隅に設置されたこの簡易ステージで行われる。


だからこの校庭西側の隅っこ一帯が、ミスコン、ミスターコンの会場となるわけなんだけど、飾り付けといってもステージの周りに紙で作った花を付けることぐらいしかない。


あっという間に終わるだろうなぁ。
クラスのほうもほとんど完成間近だから、当日までに衣装とか内装とかもう少し手を加えられるかなぁ。


そんなことを考えていると。


「かっなーみちゃーん♪」


「ひょああぁっ!?」


突然後ろからぎゅっと抱きつかれて、私は思わず変な悲鳴を上げてしまった。


「か、柏木くん!?」


こんなことをするのは柏木くんぐらいだろうとは思いながら振り返ると、その考え通りの人物がにこにこ笑顔で立っていた。


「相変わらず良い反応してくれるよね〜」


「や、やめてくださいよっ!」


柏木くんは、いつもいつも心臓に悪いことをしてくるからまったく油断ができない。


「おい、香波にちょっかい出すんじゃねえ」


そして毎度のことながら、相沢くんが私と柏木くんの間に割って入ってくれた。