――ドンッ。
「ひゃっ」
おそらく真っ赤であろう顔を見られないように俯いて歩いていたから、前から人が来た人に気付かずぶつかってしまった。
ぶつかった相手はストレートの髪の長い女の子。たぶん違うクラスの人だ。
その人は、転びはしなかったものの衝撃で手にしていたプリントを落としてしまっていた。
「すすすすみません!」
「何やってんだよお前」
「前を見ていなかったもので……」
慌てて床に散らばったプリントを拾い上げる私を、相沢くんも呆れながらも手伝ってくれる。
全部拾って渡すと、小さいながらも「ありがとう」と声が返ってきた。
「はるー!大丈夫?」
すると、向こうからこの子の友達らしき可愛い女の子がパタパタと駆け寄ってきた。
「大丈夫だよ、ひー」
「よかったぁ。気をつけてね」
そんなやりとりのあと、二人は私たちに軽く頭を下げてから歩いていった。
プリントをきっちり半分ずつ持ってて、横に並んで歩く姿がすごく可愛い。仲良しさんなんだなぁ……。
「香波も怪我ないか?」
「うん、大丈夫です」
「ならよかった」と安心したように笑う相沢くんを見て、私も自然と頬がゆるくなった。