「あああのっ、相沢くん……!」
俺らも早く帰ろうぜとか言いながら鞄を肩にかける相沢くんに、思い切って声をかけた。
今なら……今なら昨日のお礼が言えると思って。
「昨日っ……私の代わりに、あの、日誌とか教材とか、その……あ、ありがと……」
ありがとうすらしどろもどろでしか言えない自分が情けないけど、ちゃんと言わなきゃ。
相沢くんがびっくりしたような顔をしている。
それから、それから……。
「それからっ、い、いきなり……怒鳴っちゃって……ごめん、なさい……」
ぺこりと頭を下げた。
確かに相沢くんには失礼なことを言われたけど、間違ってなかった。
ただ、私がそれを受け入れるだけの余裕がなかったからあんなふうに怒鳴ってしまった。
それなのに相沢くんは、私が自業自得で引き受けたことを代わりにやってくれた。
いくら話すのが苦手でも、ちゃんと言わなきゃ……。
「もしかして、わざわざそれだけ言うために俺が起きるまで待ってたの?」
「え?いえ、そういうわけじゃ……」
相沢くんは眠そうな目を少し細めて、微かに口元を緩めた。