今日は衣装係と美術係に分かれての作業で、私たち衣装係はメイドと執事用の服の細かいデザインについて話し合っていた。
「まあ、こんな感じかな〜」
私たちの意見を取り入れて、美術部の藤崎さん衣装の簡単なイメージを絵に描いてくれた。
「こんな感じでどうかな?桜さん」
「うわぁ……!とっても素敵です!」
フリルとかリボンとか細かく綺麗に描かれていて、すごく見やすいしわかりやすい。完成した時のイメージもさらに湧きやすくなった。
「じゃあ、今日からさっそく衣装作りに取りかかりましょう。そろそろ作り始めないと間に合わないと思うので」
「おっけー!了解〜」
私の指示で、衣装係のみんなが家庭科室へ移動する。
アキちゃんと一緒に廊下を歩いていると、「あら、桜さん」と声をかけられた。
「あ……野川先輩!」
野川先輩もクラスのほうの文化祭準備をしているのか、いろんな材料やら備品やらを持っている。
「あの、よかったらお手伝いします」
アキちゃんに先に行ってもらい、私は重そうな荷物の半分を持つ。
「ありがとう、桜さん。教室まで少し遠いんだけど、お願いします」
そう言って、野川先輩がふわりと笑った。