ふわりと陽だまりのようにアキちゃんは笑って、向かい側の席から手を伸ばして私の頭を撫でた。


「好きって伝えるのは、すごーく勇気がいることだけど、それ以上に素敵なことだから迷うことなんて何もないよ」


迷うことなんて……何も……。


「相沢くん、野川先輩のことが好きなのに、私の気持ちは迷惑じゃないのかなぁ……?」


「香波は、相沢くんのことが好きだけど、他の男子から好きだって言われたら迷惑?」


何となく柏木くんのことを頭に思い浮かべる。
私なんかを好きになってくれるなんて有り得ないし、たぶん本気ではないと思うけど、好意を向けられて嫌な気はしなかった。


「じゃあ、相沢くんだってきっと一緒だと思うよ。香波の気持ち、すごく嬉しいんじゃないかな」


アキちゃん……。


……そっか、そうだよね。
応えられないとしても、相沢くんならきっと、私の気持ちを受け止めてくれるはず。


「ありがとう、アキちゃん。私、伝える。好きですって、相沢くんに」


たとえ相沢くんに好きな人が他にいたとしても、私は相沢くんが好き。


初めてこんなにも人を好きになったんだって、そうなれたのは相沢くんのおかげで、好きになったのが相沢くんで良かったって、ちゃんと言うんだ。