「そのことももちろん気になってモヤモヤしたんだけど、相談したいのはそれじゃないんだ。今日ね、お昼ご飯食べてる時に相沢くんから電話がかかってきたんです」
「電話?相沢くんから?」
「はい。『休んじゃってごめん。ひとりぼっちになってないか?』って。私のこと、すごく気にかけてくれてたみたいなんです」
今でも思い出す。
私のことを本気で心配てくれてるんだなぁってわかるくらい、優しい相沢くんの声。
「私、相沢くんと野川先輩の間には入れないと思うから諦めるつもりでいたんですけど、電話で相沢くんの声を聞いたら……やっぱり……」
「やっぱり、好きだって思っちゃったんだ?」
こくりと、今度は首を縦に振った。
こんなに強く誰かを想ったのは初めてで、少し恥ずかしいぐらいなんだけど……。
せめて、相沢くんのことが好きなんだっていうことだけでも、伝えたいと思ったんです……。
「ねぇ、アキちゃん……。
失恋してるのに、相手に、こ、告白するのは……おかしいですか……?」
おずおずと問いかけてみると、アキちゃんは残っていたカフェオレを飲み干して、それから満面の笑顔で頷いた。
「おかしくなんかないよ。失恋するってわかっていようが、相手に好きな人がいようが、好きな人に好きって言うのは、全然変なことじゃないよ」