なんて優しい人なんだろう。
確かに、最近はずっと相沢くんが私と一緒にいてくれて、ひとりになることなんてなかった。
だからこそ、さっきみたいに友達同士で楽しそうにしている人たちを見ると寂しくなったし、ある程度馴染めてきたとはいえ、いまだに文実委員の中では浮いている存在の私はどうしたってひとりで行動することが多い。
でも、今までずっとそうだったから平気だったはずなのに……隣に相沢くんがいない今日は、心にぽっかりと穴が開いたような気分だった。
〈香波、最近いい意味で変わってきたと思うけど、やっぱ心配だからさ。ごめんな、急に電話なんかして〉
ううん……嬉しいよ、相沢くん。
ありがとう、本当にありがとう……。
相沢くんの優しい声を聞いていると、胸が苦しくなって、目頭が熱くなって、抑えていた感情が溢れ出してきた。
「相沢くん……」
〈ん?〉
好き……。
やっぱり好きです、相沢くん。
野川先輩のことが好きでも、私のことなんてこれっぽっちも見てくれていないってわかってても、好き。
今心配してくれてるのだって、私が野川先輩に似ていて放っておけないだけかもしれないけど、それでもいいとすら思ってしまう。
〈香波?泣いてんの?〉
「泣いてないですっ……」
誰かにこんな想いを抱いたのは初めてで、どうすらばいいのかわからない。
「……ありがとう、相沢くん……」
ただただ、流れる涙を拭うことしかできなかった。