〈今、電話して平気か?〉
「うん、お昼休み中だから……。どうしたんですか?急に……」
〈いや、俺今日休んじゃったから、迷惑かけたと思うし一応謝っとこうと思って〉
そんな……休んだのは昨日のことがあったから仕方ない。それにああなってしまった原因は、私の不注意が原因だったんだから、相沢くんは何も謝ることなんてないのに。
そんなことよりも、別のことの方が気になってしょうがない。
今、野川先輩と一緒なのかな。それともお見舞いだけして帰ったのかな。
それとも、本当に風邪か何かだったのかな。
「えと……それは別に大丈夫です。人手が足りなくなったりしたとかはないので問題ないです」
〈そっか。なら、よかった〉
電話の向こうで、相沢くんが安堵の息をついたのがわかった。
「……では、他に用がなければ……」
〈香波は?〉
「え……?」
用事はそれだけだと思っていたので、そのまま電話を切ろうとしたら、相沢くんが私の言葉を遮って言った。
〈香波はひとりで大丈夫?〉
……え、どういう意味……。
〈どうせ香波のことだから、今もひとりでお弁当食ってんじゃない?ひとりで心細くねえか?ちゃんと文実委員の仕事やれてるか?〉
まるでお母さんみたいに、心配してくれている相沢くん。
相沢くん、自分が大変な時に私がひとりぼっちになるかもしれないって、気にかけてくれてたんだ……。