だから……柏木くんとはそんなんじゃない。
誤解しないで欲しい。


そう思うと、口下手なはずの私が次から次へと言葉が飛び出してきて、これでもかというぐらいに必死になってしまった。


相沢くんにだけは、変なふうに思われたくない。
この前も、今も、相沢くんが好きなのは変わらないから。


「香波……」


目を丸くして、私を見つめる相沢くん。


泣き顔を見られて、こんなに取り乱したところも見られて、恥ずかしいけど好きだから仕方ないと開き直ってしまった。
だから、もうこの際、私も聞いてしまおう。



「相沢くんこそ、どうなんですか。……好きなんですか?野川先輩のこと」



「へ?」と、さっきの私みたいな間の抜けた声が、相沢くんの口から漏れた。


「何で、委員長が出てくんの?」


「野川先輩から聞いたんです。中学時代、私と同じように口下手だった野川先輩に、初めて声をかけたのが相沢くんだったって……。あの日、初めて私に話しかけてくれたのは、野川先輩と私が似てたからじゃないんですか?」


相沢くん、違うって言って欲しい。


「私に野川先輩を重ねたんじゃないんですか……?」


怖いよ、アキちゃん。
勢いで聞いたけど、答えを聞くのが怖くて仕方ない。


でも、相手の気持ちなんて、聞かなきゃ何もわからないんだよね。


俯かないで、相沢くんを真っ直ぐ見据えて、答えを待った。