保健室には私と、眠ったままの相沢くんだけ。


みんなには作業を進めてほしかったから、私が看てるから、と言って教室に戻ってもらった。



「相沢くん……」


相沢くんは、綺麗な寝顔で、規則正しい呼吸を繰り返している。


先生によると軽い脳しんとうだったみたいで、怪我もないし、しばらくすれば目を覚ますらしい。


「……相沢くん、ごめんなさい」


聞こえるはずはないとわかっていても、言わずにはいられなくて。


でも、何度言っても足りない。


相沢くん、ごめんね。


助けてくれてありがとう。


「……か、なみ……」


「!」


かすかだけど、小さく耳に届いた私を呼ぶ声。


「相沢くん!!」


「香波……」


ゆっくりと起き上がろうとする相沢くんを慌てて止めに入る。


「無理しちゃだめだよ」と言うと、相沢くんは「悪ぃ」と苦笑した。


「相沢くん……すみませんでした、私のせいで……」


「謝んなよ。……つーか、俺、謝ってほしくて香波助けたんじゃないんだけど」