意を決して、「相沢くん!」ともう一度彼の名前を呼んだ時だった。
「かーなーみーちゃん!」
明るい声が私に向けられたかと思うと、その直後に誰かが私に抱きついてきた。
「香波ちゃん!」
「っ!!? なっ……ええっ!!?」
飛びついてきたのは、柏木くん。
相沢くんの眉間にシワが寄るのが、視界の端で見えた。
「かかか柏木くんっ!!?」
「やっほー♪」
「おい、香波から離れろ」
ギューっとくっついてくる柏木くんを、私からべりっと剥がすようにして、相沢くんが間に割って入る。
「何すんのさ、相沢」
「香波がびっくりしてたから、ひっぺがしてやっただけだ」
むっとする柏木くんに、相沢くんもギロッとガンを飛ばす。二人共怖いよー!
「お前、何でそんなに香波に絡んでくるんだよ」
「そんなの、香波ちゃんが好きだから決まってんじゃん」
私の肩を抱き、再び自分のほうへと引き寄せる柏木くん。
みみみ、密着してしまっています……!
て、ていうか、好きって何なんですかー!?
真っ赤になる私を見て、相沢くんはさらに不機嫌そうに顔をしかめた。
「相沢くーん?何かと俺と香波ちゃんを近づかせないようにしてるけど、君は関係ないよね?」
「あ?関係あるに決まってんだろ」
柏木くんは相沢くんの答えを聞いて、あやしく笑いながら首を傾げてさらに問いかけた。
「何で?君は香波ちゃんのこと、何とも思ってないんだよね?」