「しゃーねえな。やるぞー香波」
「は、はい!」
アキちゃんに代わって教壇に立つ相沢くんに続き、私もチョークを持って黒板の端っこに立つ。
「えーっと、衣装係とか美術係とか、とうじつまでの役割はもうだいたい決まってるんで、先に当日は誰がメイドやるかとかを決めます。で、だいたいの教室の飾り付けとかテーブルの配置とかレイアウトを大まかに決める。2学期の最初はまだ授業がちょっとあるから大規模な作業には入れないんで、その間にパパッと人数分の衣装を作り上げたいと思います」
うわぁ……相変わらずすごいなぁ、相沢くん。
ペラペラと流暢に喋っては、あっという間にみんなをまとめている。
「じゃあ、まずは班作って、その中で当日の役割分担を決めてくれ。うちのクラスは30人だから3グループに分けるとして……10人ずつの男女混合グループを作ってくれ」
相沢くんの指示でみんな一斉に席を立ち、わいわいと騒ぎながら3つの班に別れ始める。
私は……どこか余ったところに入れてもらえればいいや。
と、思っていたんだけど。
「香波ー!一緒のグループになろー!」
アキちゃんが私のもとに駆け寄ってきて、ぎゅっと腕に抱きついてきた。
「へ……?いいんですか?」
驚いて、思わず問いかけると、何故か不満そうにむすっとするアキちゃん。
「何言ってんのよ。あたしたち、友達でしょー?」
「あ……」
そっか、私たちは友達なんだよね。
忘れてたわけじゃないんだけど、そっか、友達なんだもんね。