大幅に遅刻する人はいなくて、10時5分ぐらいにはみんな揃った。


「じゃあ、みんな揃ったところで始めよっか!」


アキちゃんがみんなを席に座らせたあと、自分は黒板の前に立って、教卓に手をつく。
何だか先生みたいにノリノリなアキちゃんが可愛くて、思わずにこにこしてしまう。
そんな私にアキちゃんが気付くと、私と同じように楽しそうに笑い返してくれた。


「まあ、夏休みから準備を始めるなんてちょっと早いと思うけど、他のクラスに負けたくないし、やっぱり成功させたいじゃん?とゆーわけで!クラスの文化祭の準備始めます!」


と、アキちゃんがみんなに呼びかけるまではよかったんだけど。


「……じゃあ!文実委員のおふたりさん、よろしくお願いしまーす!」


「ええっ!?」


てっきり、このままアキちゃんが仕切ってくれるものだと思っていた私と相沢くんは、予想外の振りに揃って声を上げる。


「お前がみんなを集めたんじゃねーのかよ。結局俺たちがまとめんのか?」


「だぁってー!あたし、みんなをまとめて指示出したりするの苦手なんだもーん!」


「何だよそれ……」


呆れる相沢くんに、アキちゃんが慌てて言う。


「まあね!みんなもさ!文化祭のことは文実委員さんにね!仕切ってもらったほうがいいじゃん!ね!」


そんな感じで、アキちゃんは自分の席に戻ってしまった。