「香波? なんか今日ずっと考え込んでるみてーだけど、どうした?」


「……っ!!」


相沢くんが私の顔を覗き込んでくる。
すぐ目の前に相沢くんの綺麗な顔があって、驚いた私は思わず相沢くんの体を突き放してしまった。


「え……まじでどうしたの?香波?」


「あっ!ごめんなさい!な、何でもないんです……けど……」


――ガラッ!


「おはよう!……ってあれ?」


ちょうど教室のドアが開いて、アキちゃんがやってきた。


「あ、アキちゃん!おはよう!久しぶり!」


「やっほー香波♪てか、もしかしてお取り込み中だった?」


「ううん!全然大丈夫です!」


ごめん、と小声で謝ってくるアキちゃんに、私は首を横に振る。


むしろアキちゃんが来てくれてよかった。
相沢くんとふたりきりでいるのは、少し気まずいというか。突き放しちゃったし。


「……まあ、ならいいんだけど」


アキちゃんが心配そうな顔で私と相沢くんを交互に見るから、私は本当にだからと笑ってみせた。


「おはよー」


「おはよー!みんな久しぶりー!」


少しすると、クラスのみんながぞろぞろと教室に入ってきた。
久しぶりに会うみんなは相変わらず元気そうだった。