翌日。
10時集合だけど、少し早く学校に着いてしまった。


私のクラスの人たちはみんな、いい意味でのんびりというかマイペースな方が多いので、たぶんまだ誰も来てないと思う。


とりあえず教室で待っていようと、2組の教室のドアを開けると、いきなり心臓が飛び出そうな事態に見舞われた。


「おはよ、香波」


「あああ相沢くん!! お、おはよう!ございます……!」


クラスの人たちはまだ誰も来ていなかったけど、代わりに相沢くんがいた。


相沢くんもこの前の文化祭準備では遅れて来たから、今日もギリギリかもう少しあとぐらいに来るだろうと油断していた私は、不意打ちにやってきた出来事に対応できない。


「えっと、えっと、あ、相沢くんひとりですか?」


「ああ。まだ俺ひとり」


こんな見ればわかるような、聞くまでもないことを聞いてしまう始末。


一度落ち着きましょう、私……!


「学校全体の文化祭の準備は結構進んでるけど、クラスのほうは全然だもんなー。今日でだいたいの教室のレイアウトとか決めて、材料調達とかしとけば2学期入ってすぐに作業に取りかかれるな」


「えっ!……あ、そ、そうですね……」


相沢くんが普通に話しかけてくれる。
でも、うまく返せない。
どうしても、野川先輩の顔が頭によぎる。


相沢くん、こうして仲良くしてくれるのも、やっぱり野川先輩と私を重ねて、放っておけないからなのかな……。