「それよりも、朗の方こそ大丈夫なの?」
「え?」
「心配、家族の人とか、してないかなって」
まあ、男の子だし、自分から海へ行くと言い出しているんだから、そう心配はないと思うけれど。
だけど何も持っていなかったし、もしかしたら突発的に出てきているのかもしれない。
そう考えると、家族が彼のことを心配していないとも限らない。
「……ああ」
朗は微かに目を伏せ、そう頷いた。
「俺も、大丈夫だ」
「……ふうん」
それは、少しだけ感じた違和感。
いつもじっと、まるで奥まで見透かすように、真っ直ぐに目を見て話す朗が。
今は視線を合せなかった。