頼ってはいけなかった。
頼っていいなんて、思わなかった。
誰もわたしの傍に居てくれなくて。
いつだって手の中はからっぽで。
だからひとりでやらなければと、そう思っていた。
「ひとりだと難しいことってたくさんあるけど、誰かがいれば、なんだってできる」
そうだろ、夏海。
朗が言う。
わたしは一度ゆっくりと瞬きをし、頷いた。
「うん、そうだね。正解」
「そうか、よかった」
そして朗は、ふわりと笑った。
───正解。
正しい答え。
そう、それが、正しい答えなのだ。
正解。
わたしはそれを、朗ではなく、きっと、自分に向かって言っていたんだろう。