おばあさんの家に泊めてもらうことになったわたしたちは、寝る場所だけでなく、夕飯やお風呂までもお世話になってしまった。

見ず知らずの他人にこんなに世話を掛けていいものかと、不安と後ろめたさを感じるものの、実のところこの状況が、かなり嬉しかったりもする。


だってわたしたちは、お金によってそれらを得る術がないわけで、ご飯もお風呂も柔らかい布団も諦めていたわたしにとって、この環境は天国にも思えた。



「それにしてもそんなところから自転車で海に行くなんて、元気だねえ。私には無理だよ」

「わたしだって無理ですよ。でも、朗が行くって言うから」


ご飯を食べてお風呂に入ったあと、おやつのおまんじゅうを食べながら、わたしはおばあさんに今日の出来事を語っていた。

服は、おばあさんが近所の人から借りてきてくれたパジャマを着させてもらっている。

下着だけは近くのコンビニまで買いに行ったけれど、もちろんそのお金はばっちり借りてしまった。

着ていた制服は朗のものと合わせて洗濯してもらっているし、なんだか申し訳ないくらいに至れり尽くせりだ。

本当に、今後一切足を向けて寝られないくらいに。