「なあ夏海、野宿ってどこでするんだ?」
朗がわたしを覗き込んでそんなことを言うもんだから、なんだか少し腹が立って、唇を突き出した。
「知らないよ。決まってない」
当たり前。
無計画で出掛けてきたんだから、どこかに泊まるお金もないし、だからと言って野宿できるような場所も知らない。
どこか公園でも探して、そこのベンチでも使うしかないんだ。
「だって。俺たちこれからどうすればいいかな」
朗がやっぱり他人事みたいに、おばあさんに向き直る。
すべてはお前のせいなのに、そう思いながら、だけど口には出すことも疲れてわたしは何も言わなかった。
すると、おばあさんがわたしたちに向かい、にいっと笑う。
「なら、ここに泊って行けばいいよ」