わたしは自分のアイスを齧りながら、黙々と食べる朗の横顔を眺めていた。


まるでおやつを貰った幼稚園児みたいだ。

おいしいのはわかるけれど、まさかこんなにも喜ぶなんて。


「そこまで喜んでもらえたら、きっとアイスも本望だと思うよ」


溶けかけている根元の部分を舐めながら、少し皮肉も込めて言ってみた。

だけど当たり前のようにそれは伝わらず、朗は涼しげな表情をわたしに向ける。


「だってこんなにおいしいなんて思ってなかったから」

「……ふうん」


軽く相槌を打って、しゃくりとアイスを齧る。

だけど、少し考えて、気付く。


「え、朗って、アイス食べたことなかったの?」


まさかとは思うけど、今の言い方だと、そう言っているように聞こえなくもない。

と言うか、そうとしか聞こえないと思うんだけど。


「ああ、初めて食べた」


やっぱり。