半分の大きさになったソーダ味のアイス。
先の方が、微かに溶けて光っている。
「うん、ありがと」
それを受け取ると、お金を出したのはわたしのはずなのに、朗はまるで自分があげたみたいに満足げに笑って頷いた。
「いただきます」
まずひとつ、ちろりと表面を舐める。
何の変哲もない、今まで何十回と食べてきた、お馴染みの甘いソーダの味だ。
だけど、疲れているせいか、いつもの何倍も美味しく感じる。
「んー、おいしい!!」
あまりの感激につい声を上げると、そんなわたしをじっと見ている朗に気が付いた。
少し恥ずかしくなってそれを隠すように「なに」と訊くと、朗は笑って「何もない」と言葉を返した。