のそりと立ち上がって、ぼんやりとアイスのショーケースを眺めている朗の元へ向かった。
隣に立って覗き込むと、なんだかすごく物欲しそうな顔でアイスを見つめているもんだから、まるで小さな子どものようなその表情に、わたしは少しだけ笑えてしまった。
「ねえ、ひとつだけなら買えるよ」
横顔に向かって呟くと、大きな瞳がこっちを向く。
「ほんとか?」
「うん。高いやつはだめだけどね」
「やった! ありがとう夏海!」
嬉しい気持ちを隠しもしないで、朗はくしゃっと笑って声を上げた。
まさかアイスひとつでそんなに喜ぶとは。
確かに真夏の疲れた時に食べるアイスは格別においしいけれど。
そう驚きつつも、でも微かに嬉しい気持ちも織り交ぜて、わたしは朗がアイスを選ぶのを待った。