足が、まるで自分のものじゃないみたいだ。
だるいを通り越して、言葉では表せられないようなおかしな感覚になっている。
筋肉も骨も脂肪も、体中の全部が悲鳴をあげている。
汗ばんだ額に張り付いた前髪を掻き上げた。
温かいお風呂にでも浸かってとりあえずゆっくりできたら。
そう思って、大きな溜め息が出た。
お風呂になんて入れるわけがない。
そもそもわたしたちには、今日寝る場所すらないのだから。
夕日が、地平線の彼方に沈もうとしている。
わたしを置いて行ってしまうのか、薄情な奴め。
どうせ海の彼方に沈んでいくなら、わたしたちを一緒に連れて行ってくれればいいのに。
「夏海」
わたしを呼ぶ声が聞こえた。
全ての元凶のくせに、わたしの悩みなんてひとつも知らないやつの声だ。