朗が後ろから腕を伸ばし、わたしたちの行く先を指差した。

そこには確かに小さな建物があるって、郎の言うとおり、何かの店のようだった。


どうやらそこは、民家の一角でやっている駄菓子屋さんらしい。

今時こんな店があったのかというほど、良く言えばレトロ、正直に言えば古臭い店だ。


「なあ、あそこで少し休んでいこう」

「そうだね。まあ休みたいのはわたしだけだけど」


駄菓子屋の前で自転車を止める。

古い木造の建物は今にも壊れそうだけど、長く建っているということは、意外と丈夫なんだろうか。

中にはこまごまとしたお菓子やアイスが並んで、店の前には建物と同じように古い木で作られたベンチがあった。


わたしは自転車から降りて、その古いベンチに腰掛けた。

途端、体中から力が抜けていくように、ずんとした重さを感じた。


できればもう、一歩もここから動きたくない。


本気でそう思いながら、肺いっぱいに息を吸って、そのまま深く深く吐き出した。