「そういえば腹が減ったかもなあ」


間延びした声が後ろから聞こえる。


かもなあ、なんて。

わたしは誰が何と言おうと絶対的な事実としてお腹が減っているのに。

喉なんて、砂漠よりもからからだ。


もうこの際川の水でもなんでもいいから、どこかに水場はないだろうか。

そう願いながらも見付けられず、ひたすら自転車を漕いでいたら、朗がさっきも聞いたような声を上げた。


「あ、あれ」


もしかしてまた何かの死体でも見つけたのだろうか。

だとしたら今度は絶対無視してやる。


「どうしたの」

「建物がある。ほら、あそこ。お店じゃないか、あれ」